相対評価→絶対評価、リコーリースが人事制度を改めた狙い
リコーリースがマネジメントの高度化を進めている。人事制度で2020年10月、相対評価をやめて絶対評価を導入した。従業員が納得感を得ながら、最高の成果を出しやすい評価体系にした。また会社での働きがいなどを測定する「エンゲージメント調査」も四半期ごとに実施している。
「人事として絶対評価は禁じ手だった」。荒木優一執行役員は振り返る。というのも絶対評価は相対評価と比べて評価基準の設定が難しいからだ。評価の“確からしさ”をどう担保するかはもちろん、部下を評価するマネージャー層の負担も大きくなる。
しかし相対評価はどうしても他人の業績と連動してしまう。従業員の成果を可視化しようとしていた時期とも重なり、「相対評価だと正しい成果が見えないといった課題があった」(荒木執行役員)。そこで「絶対評価にチャレンジした」。
絶対評価の成否を分ける肝は目標設定だ。そこで部門ごとに目標設定のガイドラインを作っている。絶対評価の基準をぶらさないように、部門長や組織長といったマネージャー層が評価の目線を合わせられるようにしている。
マネージャー層の力量も試される。部下とコミュニケーションを取り、適切な目標を設定できるかが重要となる。マネージャー層は評価リテラシーの向上が欠かせなくなった。絶対評価に移行した現在、従業員からは「納得感が高まった」という意見が多いという。
また同社の人事戦略ではエンゲージメント調査も重視している。結果はリアルタイムで集計して数値化。全社で結果を共有している。さらに人事部門ではエンゲージメントスコアを基にどういった層で課題があるのかといった分析を進める。必要な施策は中期経営計画に盛り込む。
荒木執行役員は「従業員の自己成長や自己研さん、スキルアップといった取り組みが必要だ」とし、従業員がキャリア形成を考える「きっかけ作りが大事だ」と強調する。