アイシン工場の生産性2.6倍、柔らか車部品を組み立てる独自ロボハンドの実力
アイシンは柔らかい材料を活用した自動車部品の組み立てを自動化する。常に形状が変化するゴム製チューブなどは取り扱いが難しく、人手に頼ることが多い。自動組み立てを前提とした製品構造に変更し、自社開発した専用ロボットハンドで組み立てる。第1弾として新豊工場(愛知県豊田市)に導入し、人による作業に比べて1時間当たりの生産性を従来比2・6倍に高めた。国内外の工場で同ノウハウを共有し、製品ごとに自動化率を引き上げる。
新豊工場では車のスライドドアやバックドア、シートを電動で作動するための駆動部品を生産しており、今回初めてパワーバックドアシステムに搭載する挟み込み検知用センサーの組み立て工程を自動化した。
同工程は長さ約1メートルの「センサー」と呼ばれる部品を樹脂製のブラケットに正確に沿わせながら取り付ける。従来はセンサーに両面テープを貼り付けた上で、粘着面を保護する剥離紙を剥がしながら、ブラケットに押し当てていた。
自動化に当たり、製品構造を見直した。ブラケットに40―50カ所のへこみを作り、そこにセンサーをはめ込む。仕様や設計変更により、ブラケットの形状が刷新しても対応できようにロボットハンドと治具を自社で開発。柔軟性を持たせた。
同工場ではシート向け機構部品なども製造するが、プレス加工できる硬質製品のため、自動化率は高い。一方、センサーはこれまで工程の半分以上しか自動化できていなかったが、2025年にはシート向け部品と同程度の高水準を目指す。
新豊工場ではセンサーとブラケットの組み立てを自動化する2つ目のラインを整備中。現在は1台のロボットではめ込みと検査を実施しているが治具を工夫し、2台のロボットで作業と検査を分担する。これによりさらなる生産性の向上が期待できるという。
【関連記事】 トヨタグループも頼りにする異能の変革集団
日刊工業新聞 2022年12月20日