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男性の育休を浸透させるにはどうすべきか

2022年は改正育児・介護休業法の整備が進んだ。軸となるのが10月にスタートした「産後パパ育休」制度。育児という明確な目的の休みを男性が取得し、質量ともに多くの家事・育児・介護を担うことで、仕事と生活のバランスを取るきっかけとする狙いだ。男性版「働き方改革」と言える。

「産後パパ育休」は、子どもが生まれてから8週間以内に、男性が従来の産休とは別に4週間の休みを取得できる制度。休みを2回に分けていったん仕事に復帰することができる。

近年、男性の育児休業取得率は上向いているものの、女性との差は大きく政府目標の30%の達成にはほど遠い。厚生労働省の「2021年度雇用均等基本調査」(22年7月)によると、育児休業取得者は女性が85・10%だったのに対し、男性は13・97%にとどまっている。

男性の育休取得が遅々として進まないのは、企業内での雰囲気が背景にあるとみられる。企業にとっては、男性の育休取得によって生産性が低下し、利益減少にもつながりかねないという懸念があるためだ。

男性の育休を浸透させるにはどうしたらよいのか。日本総合研究所の小島明子スペシャリストは「制度面を含め企業内で1カ月休める環境づくりが必要。企業側にもブランド価値向上とリスクマネジメントの両面の効果が見込める」と、育休のメリットに目を向けるべきだと提案する。制度の充実は優秀な人材を獲得しやすくなる効果も見込める。

欧米では、使い方に制限のない「サバティカル休暇」が普及してきている。小島スペシャリストは「この制度を使えば個人の自律的なキャリア形成にもつながる」と指摘する。

企業が人材を選ぶ時代から、人材が企業を選別する時代が到来している。働き方が多様化し、ワークライフバランスが重視される中、男性の育休取得を含めて福利厚生を充実させることが企業選択のカギを握りそうだ。

日刊工業新聞 2022年12月08日

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