「電動草刈り機」30台限定で欧州に市場投入する井関農機の狙い
井関農機は7日、欧州市場向けに電動草刈り機「SXGE2=写真」を30台限定で12月中に市場投入すると発表した。日本に比べて環境意識が高く、電動化が急速に進んでいる欧州市場の状況をとらえ先行投入する。自治体の公園整備や富裕層の庭整備などの用途を想定。価格はディーゼル機の2倍程度。松山市の工場で生産し輸出する。
欧州ですでに実績のある14馬力ディーゼルエンジンの「SXG216」をベースにし、動力源としてバッテリー容量7・92キロワット時のリチウムイオン電池(LiB)を搭載。ディーゼル機と同等の草刈り・集草性能で排ガスゼロや騒音・振動が少ない長所を訴求する。
電動草刈り機は「日本メーカーとして初めて設計、生産を行った本格的な電動商品」(冨安司郎社長)とし、環境保全対応の象徴的な商品と位置付ける。家庭用コンセントで充電でき、取り扱いが簡単な利点もある。LiBの開発進展を見据え、まず試験的に30台販売し様子を見る。
欧州や米国で自動車のゼロエミッション規制が開始されたことで、「農業機械にも徐々に動きが波及する」(同社)とみている。日本の排ガス削減手段は自動操舵農機や化学肥料削減、有機農業系の機械が中心だが、欧州は電動式が主力になるとみて引き続き製品開発を進める。草刈り機に続き電動トラクターも開発を目指す。
日刊工業新聞 2022年12月08日