人工知能ロボットの進化は二者択一ではない!
世界で侃々諤々、ロボットの未来は明るい?人間とのつながりで素早くアクションを
産業用ロボットはスマート化でまだまだ成長
いま、自動車産業や医療など様々な分野で、ロボット・アームなど数百万台に上る産業マシンが使われている。産業用ロボットの実力は製造現場でいかんなく発揮されており、またその技能の拡張は、(人のために働く)彼らの位置づけが確実に高まって行く。
国際ロボット連盟(IFR)によると、2014年末時点で150万台の産業用ロボットが稼働しており、その数は毎年12%ずつ増加し、2018年中には230万台に達する見込みだ。その大半を占めるのが、自動車生産ラインでは当たり前の光景となった、限定的な作業を正確に実行するロボット・アーム。しかしIFRや業界関係者が予測するように、今後ロボットが飛躍的発展を遂げるにはスマート化が欠かせない。
GEでも稼働するコラボレーション・ロボット、「バクスター」と「ソイヤー」はすでに重要な第一歩を踏み出した。こうしたロボットは、自分で作業を進め、人間の行動を見て新しい仕事のやり方を学習し、どんな時に助けを求めるべきかを知る必要がある。ロボットがそうした資質をどの程度必要とするかについては、今なお熱い議論が続いている。
昨年末、GEがニューヨーク州ニスカユナにあるGEグローバル・リサーチ・センターで開催した「2015ロボティクス・リーダーシップ・サミット」でもこのテーマを取り上げられた。会議では、リシンク・ロボティクスの創設者であり会長兼CTOのロドニー・ブルックス氏、フォックスコンのロボティクス責任者チア・ペンデイ氏、カーネギーメロン大学の著名な研究者で、宇宙や鉱山、自動車などで働くロボットの実用化に貢献したレッド・ウィテカー氏などが講演を行った。
強力なAIの開発に携わるGEの認知科学研究者、ブラッドフォード・ミラー氏は、同会議で上の「バクスター」など初期型のコラボレーション・ロボットが、私たちの「工場の概念」を変えるきっかけになるだろうと語った。ただし、コラボレーション・ロボットは、いま話題になっている大変化に繋がるものではないという。
変革は“学習”という形でやってくる
「今話題になっているような、本当に大きなことは、まだまだ先の話」とミラー氏は話す。「変革は“学習”という形でやってきます。子供と同じようにロボットに学習させることや人間同様のエピソード記憶が可能になり、また彼らの推論能力を、モノゴトに関する推測を行えるレベルにまで高めることができたときです。破壊的な変化、というのは人間の知識をロボットに転送するなんてことができるようになった時のことです」(ミラー氏)
ミラー氏は“考えるマシン”を作り出すためにロボット工学研究者たちが考えた手段のひとつである、コラボラティブ・オートメーションの提議者だ。これは自律進化するハードウェアや人工知能だけでなく、電力消費量の自己コントロール、インダストリアル・インターネットを介したマシン同士または人間との通信なども含む。
『スターウォーズ』のような世界に期待
しかし、マシンにどの程度の認識能力を与えるかについては様々な意見が。ミラー氏個人は映画『スターウォーズ』に登場するような自立的に動作し、経験した世界を理解し、完璧なパートナーシップで人と共に働き、考えるロボットが大勢存在する“産業の世界”を期待している。
このアイデアを現実のものとするには、ロボットたちにそれを創り出した人間が、彼らの“道徳上の親“であると認知させるプログラミングが必要。ミラー氏も「自分の行動の結果を理解できるロボットを導入することが重要」という。