天然ゴム素材の伸びを3割向上させるセルロースナノハイバーの力
王子HDが信州大と複合素材を開発
王子ホールディングス(HD)はセルロースナノハイバー(CNF)を複合した天然ゴム素材を信州大学の野口徹特任教授と共同開発した。天然ゴムは工業用で通常、炭素微粒子(カーボンブラック)を混ぜて硬さを持つが、CNFを複合すれば強度は同等を維持しながら、伸びは約3割高められる。
CNFも天然ゴムも木材原料由来で原料コストは上がるが、環境配慮素材へのニーズは高まっている。振動制御用ゴムやエンジン周りのホースなどを想定しており、自動車関連にサンプル供給し、2025年度の実用化を目指す。
複合材は天然ゴム100%に対しCNFを約20%混合した。従来一般的な複合材は炭素微粒子を約60%混ぜているという。炭素微粒子は化石燃料由来であり、代替が進めば脱炭素化に寄与する。王子HDのCNFは独自のリン酸エステル化法により透明度と粘度が高く、繊維を微細化するエネルギーが小さい。
日刊工業新聞 2022年10月13日