ついに増加に転じた企業倒産、特に目立つ二つの業種
帝国データバンク(TDB)と東京商工リサーチ(TSR)が11日それぞれ発表した2022年度上期(4―9月)の倒産件数は、ともに3年ぶりに増加した。TDBは前年同期比6・3%増の3123件、TSRは同6・9%増の3141件だった。新型コロナウイルス感染症を受けた資金繰り支援の効果が希薄化しているほか、物価高に伴うコスト上昇も追い打ちをかけている様相だ。
燃料費や資材費の高騰などを受けて運輸業や建設業で倒産件数の増加が目立った。TDBは建設業が同21・5%増の622件、運輸・通信業は同26・3%増の168件。TSRは建設業が同14・6%増の604件、運輸業は同42・1%増の162件だった。
新型コロナの影響を受けた倒産も増えている。TSRによると「新型コロナ関連倒産」は同36・3%増の1121件だった。またTDBによると、コロナ関連融資を借りたが返済できずに倒産した「コロナ融資後倒産」は同約3倍の202件だった。
同日発表した9月の倒産件数は、TDBが前年同月比13・9%増の583件で5カ月連続で増加。TSRは同18・6%増の599件で6カ月連続で増加した。中小零細規模の倒産が主体だが負債は大型化の傾向にある。
今後は「資材高や人件費上昇など懸念材料が山積している」(TSR)状況だ。「大幅な倒産増加が目立つ建設・運輸・サービスの3業界の動向に注意が必要だ」(TDB)。
日刊工業新聞2022年10月12日