100万人足りなくなる…医療・福祉人材不足に対策はあるか
厚生労働省は「社会保障を支える人材」をテーマとする2022年版の厚生労働白書をまとめた。40年に医療・福祉分野で1070万人の就業者が必要になると見込まれる半面、確保できるのは974万人にとどまり、約100万人の人材不足に陥ると推計している。
白書は人材確保が社会保障の最重要課題の一つと位置付けた。22年から団塊の世代(1947―49年生まれ)が75歳を迎え始め、25年までに毎年約200万人が75歳以上になると指摘。「高齢者の急増」から「現役世代の急減」に傾向が変わり始めており、現役世代の人口減少が今後さらに加速するとみている。
一方、社会保障を支える医療・福祉分野の就業者数は18年時点で826万人だった。今後の医療や介護ニーズを見据えると、25年には940万人、40年には1070万人が必要になると予測している。
このため需要面では健康寿命を伸ばすことに加えて、医師の仕事を一部の看護師らと分担する「タスクシェア」「タスクシフト」が必要になると指摘。供給面に関しては、深刻な医師不足の解消をはじめ、看護師の離職防止と復職支援、介護職員や保育士の処遇改善が必要としている。
日刊工業新聞2022年9月20日