電力損失10%改善、ルネサスが開発したパワー半導体新製品の中身
ルネサスエレクトロニクスは、電動車用インバーター向けパワー半導体として、シリコン(Si)絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)新製品を開発した。第1弾となる耐圧750ボルト、定格電流300アンペア品のサンプル出荷を始めた。新しいプロセス「AE5」を採用し、現行品の「AE4」より電力損失を約10%改善。壊れにくさ(破壊耐量)を維持したまま約10%小型化した。
2023年1―6月期に那珂工場(茨城県ひたちなか市)の200ミリメートルラインと300ミリメートルラインで量産を始め、24年1―6月期以降にパワー半導体専用工場として再稼働する甲府工場(山梨県甲斐市)でも量産する。
IGBTは電動車のモーターを制御するインバーターが直流電力(DC)を交流電力(AC)に変換するためのスイッチングデバイス。新製品は低電力損失性能を示すオン電圧Vce(sat)が300アンペア時に1・3ボルトと業界最高レベル。インバーター電力損失の最大6%低減が期待でき、電気自動車(EV)の走行距離延伸やバッテリー搭載量の削減につながるという。
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日刊工業新聞2022年8月31日