国内印刷インク事業を100人超縮小、東洋インキ構造改革急ぐ
東洋インキSCホールディングス(HD)は、国内印刷インク事業の構造改革を本格化する。国内販社を再編し販売・サービス機能を簡素化するほか、販売と生産合わせて100人超の人員を縮小し、成長事業に配置転換する。印刷インクの国内需要は商業印刷が中心で、デジタル化の加速や紙媒体減少の影響を大きく受けている。足元では原材料高が追い打ちをかけており、収益確保に向けた事業再編を加速する。
2023年1月に関東・甲信越、近畿、北海道、東北、中四国、九州の地域別の販売会社6社を東洋インキ(東京都中央区)に統合する。また、国内印刷インク事業に携わる約840人のうち100人を配置転換する。人材再配置を含む構造改革は継続的に行うが、まずは「24年を中間目標」(東洋インキSCHD)として進める。現時点で人員削減は考えておらず、今後の成長が見込まれるパッケージ用インクの強化に加え、機能性材料など他セグメントへの配置転換を視野に入れる。固定費などの削減効果は明らかにしていない。
東洋インキSCHDの22年1―6月期決算は増収営業減益で、国内の印刷・情報セグメントが減収、営業損益4億円の赤字(前年同期はゼロ)となったことが響いた。日本は印刷業の生産金額(21年=3500億円)のうち、オフセット(平版)印刷の割合が6割超と高く、カタログや出版物など紙媒体の需要がインク業界全体に影響する。同社は印刷インクのコスト上昇分を国内販売価格に転嫁するため値上げに取り組むのに加え、事業構造改革に踏み込むことで収益力の回復を目指す。
日刊工業新聞2022年8月30日