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UDトラックと協業加速、いすゞ自動車が狙う相乗効果

いすゞ自動車は2021年に買収したUDトラックスとの協業を加速する。両社の販売チャンネルを生かした製品の相互販売や共同開発による製品競争力の強化、コスト削減につなげる。22年3月期に10億円程度だったシナジー(相乗効果)を23年3月期に60億円、26年3月期に300億円まで高めることを目指す。いすゞは中小型トラックで強みを持ち、UDは大型トラックを得意する。グループ内で製品を補完し合いながら、相乗効果を高めることを狙う。

いすゞは21年4月、当時スウェーデンのボルボ・グループの傘下だったUDを2430億円で買収した。ボルボとは20年10月、技術開発や販売などで相互支援する戦略的提携を結んでおり、UDの買収はその一環となる。

22年3月期のいすゞとUDの協業は、修理や整備などのアフターサービスにとどまっていたが、23年3月期から相互販売に乗り出す。22年5月には両社の国内営業本部を横浜市西区にあるいすゞの新本社に集約。海外営業本部も連携を進めていく計画だ。

また共同輸送や共通部品の購買、事務管理部門の統廃合などによって効率性を高め、コスト削減にもつなげる。これまで新型コロナウイルス感染拡大で両社の連携が遅れていたが「今後まずは開発費の節減・部品の調達で大きなメリットが出てくる」(いすゞ)とみる。

さらに23年をめどに「ボルボグループとの協業第1弾として新型トラクターヘッドをいすゞ、UDの両チャネルに投入する」(いすゞの浅原健一執行役員経営業務部門統括)方針だ。24年以降の大型トラックのフルモデルチェンジを見据え、既に共通の大型トラックのプラットフォームの開発に着手したという。

グループ内での組織風土の転換に向け、コミュニケーションの活性化も図っていく。「イノベーションを創出する集団を目指し、UDのダイバーシティー(多様性)との融合にも取り組んでいく」(同)と力を込める。

日刊工業新聞2022年7月21日

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