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EV充電システムに活用も、周波数変動を抑制する東芝のスゴい技術

EV充電システムに活用も、周波数変動を抑制する東芝のスゴい技術

実証に使ったGFMインバーターなどの設備

東芝は再生可能エネルギーを使って地域単位で電力を自給自足する小規模送電網(マイクログリッド)において、太陽光発電設備とGFM(グリッドフォーミング)インバーターの試作機を使い、停電につながる系統周波数の変動を抑える技術を実証した。

系統周波数が急激に変動した際に、独自の制御アルゴリズム(計算手順)を実装したGFMインバーターから電力を出力して系統周波数の低下を約3割抑制。急な周波数変動から発電機などの設備を守るための電力供給停止機能が動作しない周波数状態を確保した。今後、停電を回避する安定的な電力供給を実現する技術として、早期の実用化に向けた実証を重ねる。

GFMインバーターとディーゼル同期発電機の並列運転による実機検証は東芝が世界で初めて実施した。今回は過去の実証よりも実環境に近づけるため、蓄電池を使わず、GFMインバーターを搭載した太陽光発電設備1台とディーゼル同期発電機1台のみを使用。10キロワットの負荷変動があった場合に、系統周波数の低下を従来インバーター使用時の1ヘルツ(50・0ヘルツから49・0ヘルツ)から、0・7ヘルツ(50・0ヘルツから49・3ヘルツ)に抑えた。

蓄電システムと組み合わせた構成において蓄電池充電時の周波数低下を抑制できることも確認しており、電気自動車(EV)の充電システムへの活用も期待できるとしている。

日刊工業新聞2022年8月29日

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