磁石の磁区の3D撮影に成功!東北大などが成功した意義
東北大学の岡本聡教授と関西学院大学の鈴木基寛教授らは、高輝度光科学研究センターと物質・材料研究機構、大同特殊鋼と共同で磁石の磁区を3次元的に撮影することに成功した。磁石が周囲の磁場に負けて磁石内部で磁極が反転していく様子を捉えた。複数の反転伝搬モードを確認した。磁石性能の原理解明につながる。
大型放射光施設(SPring―8)の硬X線で磁石内部の磁気情報を計測する。コンピューター断層撮影装置(CT)のように回転させて計測し3次元モデルを再構築する。
ネオジム磁石を1辺18マイクロメートル(マイクロは100万分の1)の柱状に加工して磁場をかけながら撮影すると、磁石内部の磁区が一つひとつ反転していく様子が捉えられた。結晶粒が単独で反転してそれが広がる様子や最後まで耐える結晶粒が見つかった。
こうした結晶粒の原理が分かれば高性能化につながる。
反転伝搬モードが複数存在することを確認した。磁石や軟磁性材料の種類によって発現するモードが変わる可能性がある。材料の組織設計に生かせる。
日刊工業新聞2022年8月26日