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ACSLが海外でドローン本格展開も、中長期計画に数字を盛り込まない背景

ACSLが海外でドローン本格展開も、中長期計画に数字を盛り込まない背景

5月にインド・ニューデリーで開かれたドローン展示会で、ACSLのブースを視察するモディ首相(中央、同社提供)

ACSLは米国とインド、東南アジアを軸に、海外で自社飛行ロボット(ドローン)の本格展開を目指す。米国では4月のフロリダ州の見本市に続き、9月にラスベガスで開かれる見本市「コマーシャルUAV」に出展する。インドでは5月にニューデリーで開催された「ドローンフェスティバル・オブ・インディア2022」に出展、年末にもドローンの販売開始を目指す。東南アジアも含め、海外事業の売上高は2030年12月期までの中長期計画には数字を織り込んでおらず「フロンティア領域として拡販を進める」(鷲谷聡之社長)方針だ。

中長期計画に海外の数字を織り込んでいないのはドローンが国家安全保障と密接な関係があり「政府の指定事業者や指定機種に採択されるかどうかで売上高が大きく左右される」(鷲谷社長)ため。一方で米国やインドは国土の広さなどから「潜在的には日本と同等か、それ以上のドローン需要が見込める」(同)と分析。官公庁や大手ユーザーへの食い込みを目指す。

先行するインドは現地企業との合弁会社と組み立て工場を立ち上げ済み。5月のドローンフェスティバルではモディ首相がACSLのブースを視察した。インドは中国との地政学的対立も絡んで自国のドローン産業育成を進めており、合弁会社を通じて拡販する。

米国では4月の展示会で引き合いが数多くあり、知名度の拡大を狙う。9月のラスベガスの展示会では小型空撮ドローンや下水道管点検ドローンを出展予定で、代理店の調査・獲得にもつなげる。東南アジアはシンガポールを拠点にマレーシアやタイへの拡販を念頭に置く。シンガポールでは複数回、展示会への出展や現地飛行実証を行っている。

日刊工業新聞2022年8月17日

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