原発活用の是非を検討した原子力委員会、白書で訴えたこと
内閣府の原子力委員会は、2021年度版の原子力白書を公表した。脱炭素化やウクライナ危機に伴うエネルギー供給不安を受け、原子力発電活用の是非を検討。電力安定供給に利点がある半面、放射性廃棄物などの課題を抱えており、今後のエネルギーの在り方について、国民が「じぶんごと」として議論する必要性を訴えた。
白書はエネルギー安全保障のため、米英仏などが原発活用を進めている現状を紹介。その上で、建設から運転、廃止を通じた温室効果ガス排出量について、原発は太陽光よりも少なく、風力に匹敵する低レベルと説明した。
発電コストは陸上風力と同程度の低さで、燃料交換期間が長く、安定的で効率的に稼働できるとした。
一方で、原発がテロの対象となる恐れがあり、使用済み核燃料など高レベル放射性廃棄物については将来世代が「最良の処分方法」を選べるようにする必要があると指摘した。
日刊工業新聞2022年7月29日