新型コロナ全変異株に有効、京大がアルパカ抗体を創出した
京都大学の高折晃史教授らは、新型コロナウイルスのオミクロン株を含む全ての変異株に対して有効なアルパカ抗体を創出した。クライオ電子顕微鏡による立体構造解析や、創薬候補をコンピューターで選択する技術を活用。従来の治療用抗体製剤よりも、中和活性が高いことを確認した。研究の応用で、新たな治療薬の開発につながると期待される。
現行の抗体はスパイクたんぱく質の表面に結合するため、変異に十分に対応できない。研究チームはヒト抗体が入れないスパイクたんぱく質の深い溝に、変異の見られない共通構造を発見。そこに抗体を結合し、中和活性を高めることにした。
小さな分子構造を求め、遺伝子ライブラリーをもとにアルパカ抗体を作製。同抗体はヒト抗体の10分の1の大きさで、ヒト抗体が到達できないスパイクたんぱく質の深い溝に入り込むことができた。
成果は英科学誌コミュニケーションズ・バイオロジー電子版に掲載された。
日刊工業新聞2022年7月15日