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東京薬科大などが発見した新種の「レンサ球菌」とは?

東京薬科大などが発見した新種の「レンサ球菌」とは?

発見した菌の顕微鏡写真(東京薬科大提供)

東京薬科大学の中南秀将教授らは、ヒトの常在菌の一つである「レンサ球菌」の新種を発見した。入院患者の血液から分離。従来法では菌種を同定できず、全遺伝情報(ゲノム)解析などの先端技術を使って新種と判明した。多種の抗菌薬に耐性を示し、病原性が高いことが分かった。発見された新種の菌によって感染症が引き起こされた場合の治療・対処法などの研究が重要になってくる。名城大学と愛知学院大学との共同研究。

入院患者の血液から従来の方法で解析できない菌を発見。ゲノム解析や生化学的試験、系統解析といった最先端の技術を使って調べると、新種のレンサ球菌であることが分かった。発見した菌は、病原性の有無に関係なく薬剤耐性遺伝子の受容・供与菌として働き、他の病原性細菌を耐性化するとみられる。実際に同菌の薬剤耐性が他の菌に伝播することを確認した。

近年、抗菌薬に抵抗性を示す薬剤耐性菌が出現し、病原菌だけでなく常在菌にもみられる。研究対象のレンサ球菌はほとんどが口腔内常在菌だが、肺炎球菌のような呼吸器感染症や中耳炎の原因となる細菌も存在する。未発見の細菌は多く、感染症などの病気につながる可能性があるため発見することが重要となっている。

日刊工業新聞2022年7月15日

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