AI研究者100人に拡大…サイバーエージェントが博士人材に寄り添う理由
サイバーエージェントは同社の研究組織「AI Lab(ラボ)」の研究者を、2025年までに現在の倍の100人に拡大する。博士人材の採用に積極的で現在、6割を占める。国際会議・論文の発表が推奨され、給与など待遇は大企業並み、大規模実データが入手できるといった点が誘因だ。独自人事で若手大学教員が転身しやすい仕組みも導入した。人工知能(AI)研究の人材獲得競争が激化する中で、他企業から注目を集めそうだ。
サイバーエージェントは16年にインターネット広告でのAI活用でAIラボを設立したが、企業研究所としての知名度不足が課題だった。そのためエンジニアを含む全社の新卒一括と別に、ジョブ型採用と似た独自人事を打ち出した。
月額50万円で2カ月の博士インターンシップ(就業体験)や、研究発表で情報発信に注力。また科学研究費助成事業(科研費)の引き継ぎ指定機関の認定を受けたり、週1日勤務を可能にしたり、大学教員も引きつける工夫をした。現在、研究者50人の平均年齢は32歳、博士課程在学中を含め博士人材が多勢だ。出身校は東京大学、電気通信大学、奈良先端科学技術大学院大学などが多い。
研究成果はAI領域トップクラスの国際会議のNeurIPS(ニューリプス)、CVPR(シーブイピーアール)や、国際査読誌での採択が21年で約50本だ。大学との産学連携先は25超だ。自社事業でのAI実装は広告クリエーティブの効果予測やAIカメラによる購買予測など、100プロジェクト以上となった。
今後はコンピューターグラフィックスや音声などの研究者も積極的に採用する方針だ。
日刊工業新聞 2022年6月23日