デンソー向け受注拡大へ、精密プレス部品メーカーが一手
産栄工業(静岡県菊川市、高野太作社長)は、デンソー向け電動化対応部品などを生産する工場を菊川市内に竣工し、9月に稼働する。設備を含めた工場の総投資額は約10億円を見込む。新工場の稼働を機に電動化対応部品の受注拡大につなげ、売上高を2027年3月期をめどに22年3月期比2割増の36億円程度に引き上げる。
菊川市内に設けた「本所工場」は敷地面積が約3300平方メートルで、建屋の延べ床面積は約2500平方メートル。建屋は22年2月に完成し、加圧能力300トンのプレス機などを導入して生産準備を進めている。23年2月には同500トンのプレス機を導入するなど生産体制を拡充する計画だ。
新工場では主に、自動車プレス部品技術を生かしたデンソー向け電動化対応部品を生産する。現在もデンソー向けに同様の部品を手がけているが、新工場の稼働で供給力を高め、一層の受注拡大を目指す。
高野社長は「新工場の生産能力は月100万個以上を見込む。本社の設備なども活用して生産数量を増やしていきたい」と話す。生産体制の強化により、デンソー向けロボット関連部品といった新たな受注も視野に入れる。新規取引の創出で収益力を高める。
産栄工業は変速機関連の自動車向け精密プレス部品などを得意とする。22年3月期の売上高は約30億円。将来、電動化が進展することで得意とする変速機関連部品などの需要の減少が想定される。工場新設を機に電動化関連の需要をさらに取り込みつつ、事業の多角化につなげる。
日刊工業新聞2022年6月20日