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車体部品市場で攻勢かける、アマダプレスが「多関節ロボ協調の高速システム」投入

車体部品市場で攻勢かける、アマダプレスが「多関節ロボ協調の高速システム」投入

アマダプレスシステムの高速プレスラインシステム「アルパス」

アマダプレスシステム(神奈川県伊勢原市、堀江喜美雄社長)が自動車の車体部品市場で攻勢をかけている。サーボプレス機と多関節ロボットの協調運転による高速プレスラインシステム「ARPAS(アルパス)」をこのほど市場に投入した。高い生産性に加えて、各工程で最適なプレス機を選択できる点なども訴求。軽量化や複雑形状の成形加工が求められる車体部品のティア1(1次部品メーカー)向けに拡販する。(編集委員・土井俊)

「ティア1からの中・小物部品のプレス加工ニーズをしっかり取り込む」。アマダプレスシステムの堀江社長は、車体部品を手がけるティア1向け市場の開拓へ力を込める。

車体部品の成形加工では、加圧能力1000―3000トン級の大型・超大型トランスファープレスで部品一式を成形する方式が主流だが、同社の製品は小型・中型プレスが中心。そのため「(車体部品を手がける)ティア1に対しては大きな市場として獲得できていない」(堀江社長)のが現状だ。

しかしここに来て脱炭素化の動きが広がり、センターピラーをはじめとする車体部品向けに軽量・高強度の超高張力鋼板(超ハイテン材)の採用が拡大。そのため板厚や強度が異なる中・小物部品を別工程で加工するニーズが高まり、高速加工への対応が求められてきている。

アルパスは、中・小型サーボプレス機と6軸多関節ロボットを各8台まで接続できる。スライド動作が完了する前に加工対象物(ワーク)の供給・取り出しを行い、各プレス機が異なるタイミングで動く「WAVE協調制御運転」を採用。これにより、生産個数は従来の交互運転に比べて8割増の毎分18個と大幅な生産性向上を実現した。

導入時に大規模な基礎工事などが不要なことも特徴。レイアウト変更の柔軟性や、耐偏心荷重保持によって安定した加工精度が得られるといった点を生かして、大型トランスファープレスが使われている市場への参入も見据える。

アルパスの拡販に向けて、今後の金型交換頻度の高まりに対応したオプション製品などを拡充する方針。また「ティア1へ当社のプレスの良さを知ってもらうこと」(同)も課題の一つだ。プレスと自動化装置を一括提案できる点とともにプレス機自体の性能を訴求していく必要がある。

自動車向けは、他分野に比べて自動化に対するニーズとレベルが高いと言われる。堀江社長は「自動車向けのニーズに対応することで、建築や電気関連の顧客にも訴求できる」と捉えており、既存顧客層の拡大という波及効果も期待される。

日刊工業新聞2022年6月20日

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