局所最適解から脱出、早稲田大がイジングマシン向け探索法開発
早稲田大学の白井達彦講師と戸川望教授らは、量子アニーリングマシンなどの組み合わせ最適化問題に特化した「イジングマシン」を局所最適解に陥りにくくする探索手法を開発した。複数のスピンを結合させて一つのスピンとして扱う。複数のスピンを反転させる効果がある。イジングマシンに導入しやすく性能向上につながる。
イジングマシンでは多数のスピンを上向きか下向きに並べたモデルを組み合わせ最適化問題の計算に用いる。スピンの向きを反転させながら探索範囲を変えて最適解を探す。このスピン反転を一つひとつ行うと局所最適解から抜け出せない。
そこで複数のスピンを同時に反転させる手法を考案した。実際に複数のスピンを反転させるのではなく、スピンを結合させてから反転させる。イジングマシンに実装しやすく、複数のスピン反転と同等の効果を持つ。
実験では二次ナップサック問題の残留エネルギーを89%削減できた。残留エネルギーは最適解の精度を表し、小さいほど優れる。
日刊工業新聞2022年6月3日