ユニット化した部屋をタワークレーンで組み上げる。鹿島が開発したスゴい独自工法の全容
鹿島は、プレストレスト・コンクリート(PC)床版と直交集成板(CLT)パネルでユニット化した部屋を組み上げる工法を開発した。建築現場内の屋内ヤードで床版と壁・天井を組み立て、内装まで仕上げてタワークレーンで設置する。従来の工法に比べ天候に影響されないほか、作業員のフロア移動やクレーンの揚重作業を減らすことで生産性と安全性を向上できる。
鹿島独自の「フライングボックス工法」として提案する。同社の鶴見研修センター(横浜市鶴見区)新築工事で導入し、有効性を確認した。マンションや病院、老健施設など複数の部屋が並ぶ建物での活用を想定する。現場で説明した伊藤仁専務執行役員は「今回は低層建築だが、高層になればなるほど生産効率を高められる。しっかり検証していく」と手応えを示した。
今回の現場では、居室に当たる4階と5階の計28部屋に同工法を適用。1部屋を幅2・9メートル×奥行き4・2メートル×高さ2・8メートル、重さ約12トンのユニットとして地上で組み立てる。PCの圧着接合によって、現場でのコンクリート打設作業を低減。さらにCLTパネルの採用により揚重時の安全性と内装仕上げ材に必要な剛性を確保した。
日刊工業新聞2022年6月1日