AIで介護の質高める、ベネッセ子会社の新システムがスゴい

熟練職員の「暗黙知」共有

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ベネッセホールディングス(HD)傘下で介護事業を手がけるベネッセスタイルケア(東京都新宿区)は3月、認知症ケアなどの高い専門性を持つ職員のノウハウを組み込んだ人工知能(AI)システムを開発し、介護施設に試験導入した。AIが入居者の日々の記録データから「認知症の行動・心理症状(BPSD)の要因分析」や「いつもと違う予兆検知」を行い、経験の浅い職員でも、高い専門性を持つ職員に近い判断ができるよう支援する。

「人とAIの力を組み合わせ、介護サービスの質を高めたい」。ベネッセスタイルケアの滝山真也社長はAI活用の狙いをこう話す。同社が施設に導入したAIシステム「マジ神AI」は、認知症ケア、安全管理、介護技術の3分野で高い専門性を持つ職員「マジ神」がこれまでの知識・経験を基に正解データを付与(アノテーション)して開発。マジ神の暗黙知を教師データとしてAIに組み込んだ。マジ神でない職員でも、マジ神に近い判断ができるよう支援する。職員に最適なケアを勧め、入居者の生活の質(QOL)向上と職員の育成につなげる。「介護現場では、優秀な職員の視点や判断など暗黙知が多い。優秀な職員のノウハウを組み込むティーチングが重要」(滝山社長)という。

同社が2017年に開発し、約340施設に導入する介護・看護記録のプラットフォーム「サービスナビゲーションシステム」上でマジ神AIが入居者一人ひとりに最適なケアを教示する。職員が着目しなければならない観点・項目を食事、睡眠、服薬などの情報を基にマジ神AIが同システム画面でアラート表示する。開発に携わった同社サービス推進本部長の祝田健執行役員は「AIで職員の育成につなげたい」と力を込める。

介護サービスをめぐっては需給ギャップの拡大が課題となっている。厚生労働省は21年7月、40年度に介護職員が約280万人必要となり、約69万人が不足するという推計を発表。将来を見据え、大手介護事業者を中心にセンサーやカメラなどの設備を設置して効率的に介護サービスを提供する動きが広がっている。

ただ、滝山社長は「まずはAIで効率性よりもサービスの質を高めることの方が重要」と指摘。職員によってバラつきがある介護サービスの質を埋めることを狙う。(石川雅基)

日刊工業新聞2022年4月22日

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