ウクライナ情勢で供給リスク高まる、JOGMECがレアメタル長期需要予測を調査する背景事情

  • 1
  • 1

石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)と日本エネルギー経済研究所が、レアメタルの長期需給予測の調査に乗り出す。調査期間は6―10月。世界的な脱炭素の流れでコバルト、リチウム、ニッケル、白金族の需要拡大が見込まれる一方、ロシアによるウクライナ侵攻を背景とした価格高騰や供給リスクが高まる。電気自動車(EV)普及の足かせになりかねず、日本のレアメタル需給見通しを正確に把握し、安定供給の確保につなげる。

長期需給予測では再生可能エネルギーや電動車、蓄電池などの導入量や資源国の供給可能量、リサイクル原料の利用量などを考慮する。世界規模の需給予測ではなく、日本の状況を反映した独自調査とする。

レアメタル需要は広がる一方だ。国際エネルギー機関(IEA)によると40年のコバルトの需要は20年比6・4倍、リチウムは同12・8倍、ニッケルは同6・5倍、レアアースは同3・4倍。複数のレアメタルで需要が急拡大し、供給能力を上回ると予想する。

 

ニッケルはEV需要を受けて上昇基調にあったところロシアのウクライナ侵攻で供給懸念が強まり価格が急騰。投機的な要因も重なり3月8日にロンドン金属取引所(LME)ニッケル取引が一時停止する事態となった。

EV1台当たりのリチウムの使用量は7・2キログラム、ニッケルは27・5キログラム、コバルトは11キログラム。ガソリン車では使わなかったレアメタルが新たに必要となる。EVを100万台生産するために、リチウム、コバルトの現在の国内需要量と同程度の資源量が必要になるとの試算もある。経産省は新規鉱山開発や省資源化・代替技術開発が進まないと、資源供給がEV国内生産の制約になると警戒する。

排ガス触媒などに使われるパラジウムについては、日本は輸入する約4割をロシア産に依存する。当面は企業在庫などで対応できるとみられるが、経産省は中長期対策としてJOGMECの活用を含めた供給源の多角化を検討する。ただ車の電動化で将来的に排ガス触媒用需要が減少するため、鉱山投資が進みにくい状況にある。

中南米では資源を国有化しようとする動きもある。レアメタルをめぐる情勢は複雑さを増し、正確な需給見通しの必要性が増す。

日刊工業新聞2022年5月4日

関連する記事はこちら

特集

このサイトでは、アクセス状況の把握や広告配信などのためにクッキー(Cookie)を使用しています。オプトアウトを含むクッキーの設定や使用の詳細についてはプライバシーポリシーページをご覧ください。

閉じる