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磁気冷凍を使った液化水素製造に成功した物材機構・金沢大の技術力

磁気冷凍を使った液化水素製造に成功した物材機構・金沢大の技術力

AMRR方式の磁気冷凍水素液化機(物材機構提供)

物質・材料研究機構の神谷宏治グループリーダーと金沢大学の松本宏一教授らは、磁気冷凍で液化水素を製造することに成功した。磁性体に磁場をかけると排熱し、磁場を解くと熱を吸う現象を利用する。ヘリウムを冷媒とする能動的蓄冷式磁気冷凍(AMRR)で気体の水素をマイナス253度C以下に冷やして液化した。水素の液化コスト削減につながる。

ホルミウムアルミニウム金属間化合物を磁性体に採用し、超電導磁石で5テスラの磁場をかけて排熱と吸熱を繰り返す。ヘリウムの沸点はマイナス269度Cのため、水素が液化するマイナス253度Cでも気体を維持して冷媒ガスとして機能する。

実験では磁性体の水素冷却部分がマイナス258―マイナス248度Cを往復して、水素を冷やし液化させる様子を確認できた。AMRRでの水素の液化は世界初という。液化のエネルギー効率の算定はまだだが、磁気冷凍は液化効率が理論上は50%を目指せる。現行の気体式冷凍機は25%が限度とされ、コスト要因になっていた。

日刊工業新聞2022年4月18日

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