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クラファンで大学支援、レディフォーが集めた反響

クラファンで大学支援、レディフォーが集めた反響

反響の大きかったオンライン面会システムのCF画面(レディーフォー提供)

ウェブ上で少額寄付を広く集めるクラウドファンディング(CF)で大手のレディーフォー(東京都千代田区、米良はるか最高経営責任者〈CEO〉)。大学関連では従来、卒業生が応援してきた学生活動や、研究の予算支援がある。特に新型コロナウイルス感染症を機に、医学・医療系研究に注目が高まっている。

レディーフォーの大学CFサービスでは新型コロナ対応で、感染防止活動や検査キット作成の案件が相次いだ。中でも話題となったのは、新生児集中治療室に入院する幼子と、会えなくなった両親を応援するオンライン面会システムの開発だ。これは大阪大学医学部付属病院の案件で、2カ月半に1100人超から3200万円を集める反響となった。

研究支援のCFは寄付型で、リターン狙いの投資型のCFに比べアピール力が低い。しかし「治療法がない病気など未知のことに対する基礎研究への支援が、この1年ほどで増えてきた」と同社キュレーター部の小谷なみ部長は振り返る。

学生活動での好例は同社の大学支援CF第1号、筑波大学との提携による箱根駅伝復活プロジェクトの支援だ。数年にわたってCFで強化費用を後押しし、26年ぶりの出場を果たした2020年新年には、寄付者も大勢がリアルの応援で沿道に集まった。

CFは獲得金額の目標達成率が一般に3割程度という中、同社の大学関連は9割と高い。同社社員のプロジェクト伴走者「キュレーター」が持つ、寄付希望者の思いをつづる文章や画像、適切な金額設定などの知見・ノウハウが強みだ。

また「目的などを明示することで、寄付者と大学の間がぐっと狭まる」(小谷部長)。寄付者の応援コメントがウェブ上に示され、次の賛同者を招くなど、仲間意識が育まれるのだという。大学にとってCFは資金獲得だけでない、社会との新たなコュニケーションツールに育ちはじめている。

日刊工業新聞 2022年4月7日

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