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自己放電防ぎ長期貯蔵できる「冬眠バッテリー」のメカニズム

自己放電防ぎ長期貯蔵できる「冬眠バッテリー」のメカニズム

開発した「冬眠バッテリー」の模式図(Mike Perkins,PNNL)

米パシフィック・ノースウエスト国立研究所(PNNL)は、いったん蓄えた電力を数カ月以上にわたり、充電時に近いレベルに維持できる電力網向けの二次電池技術を開発した。稼働しないアイドル時に自己放電の少ない「冬眠バッテリー」で再生可能エネルギーの長期貯蔵に向く。雪解け水が豊富な春に水力発電の電力をためておき、需要期や災害復旧時に活用できるという。

メカニズムは、電解質の固体溶融塩を180度Cにまで加熱し、流動化させることで充放電を行う。コストを下げるため、電解質にはアルミ・ニッケル溶融塩を採用。電力容量を増やす働きのある硫黄も添加した。

負極はアルミ、正極はニッケルとし、セパレーターには高価なセラミックスではなく、グラスファイバーを採用した。

充電後に室温まで温度を下げると電解質が固体に戻って電気が流れなくなり、自己放電を長期間防げる。エネルギー密度の理論値はキログラム当たり260ワット時。充放電効率はグリーン水素より高いという。特許ライセンスにも応じる。成果は米科学誌セルリポーツ・フィジカルサイエンスに掲載された。

日刊工業新聞2022年4月6日

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