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高級EVにロームが供給、「SiCパワー半導体」のスゴい効果

ローム炭化ケイ素(SiC)パワーデバイス2種類を米国新興電気自動車(EV)メーカーのルーシッド・モーターズの高級EV向け車載充電システムに供給することが分かった。SiCの持つ高周波特性と高温度性能により、充電システムの小型化や低損失化を実現し、急速充電を可能にした。約22分で300マイル(約482キロメートル)走行分の電力を充電できるという。

ルーシッド・モーターズが2021年10月に出荷を始めた高級EVセダン「ルーシッド・エアー」のDC/DCコンバーター(電圧変換器)と車載充電器(オンボードチャージャー)向けに、ロームのSiCMOSFET(金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ)「SCT3040K」「SCT3080K」が採用された。今後はインバーターなどへの採用も働きかけていく。

ロームは10年にSiCパワーデバイスの量産化に成功するなど、技術開発で先行する。EVの車載充電システムへの採用が国内外で相次いでおり、SiCパワーデバイスの生産能力を25年3月期に20年3月期比5倍に高める方針だ。

米国ではガソリン車からゼロエミッション(排出ゼロ)車へのシフトが進む中、テスラに続き、ルーシッドやリビアン・オートモーティブ、カヌーなど新興EVメーカーが相次ぎ誕生している。半導体やバッテリーなど日系サプライヤーの新たな商機になりそうだ。

日刊工業新聞2022年3月18日

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