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【ディープテックを追え】室温で発電に挑むスタートアップ

#62 GCEインスティチュート

室温のみで発電できるデバイスー。そんなイノベーションに挑戦するスタートアップ企業がある。GCEインスティチュート(東京都中央区)だ。環境保護の観点から排熱など「捨てていた」エネルギーを活用する取り組みが普及する中、同社は熱源さえあれば発電できるテクノロジーの確立を目指している。

熱エネルギーを電力に変える手法としては、蒸気を使ってタービンを回す方法と、温度差を使う「ゼーベック素子」が代表的だ。どちらも熱源に加えて、ほかの設備が発電には必要になる。一方、GCEインスティチュートが開発するデバイスは、25度Cの室温で約0.5ワットの電力を生み出す。熱源以外の条件を必要としない点が特徴だ。

通常、金属にはそれぞれ、物質から電子を取り出すのに必要な最小エネルギー「仕事関数」があり、その数値は異なっている。同社のデバイスは、この異なる金属の間に、直径3~5ナノメートル(ナノは10億分の1)の金属ナノ粒子を挟み込む。熱電子がデバイス内の金属ナノ粒子を通じて電極へ移動する「ホッピング伝導」を使い、電気を生み出す仕組みだ。

室温でも発電できるが、熱の温度が高いほど高電流を生み出せる。後藤博史代表は「構造としては有機ELデバイスなどに近い。面積を大きくすることや多層化することは難しくないと考えている」と説明する。

まず実用化を検討するのは150度C以内の排熱だ。2023年をめどにセンサーやウエアラブルデバイス向けに発電できるデバイスを実装する予定。また、太陽光発電パネルやスマートフォンなどから出る熱の利活用にも着目する。およそ85度Cを想定し25年ごろの展開を目指す。排熱を電力に変え、電力にいかすことを目指す。

課題は素材の製造コストだ。実験で計測した発電量を生み出すため、デバイスの金属にはプラチナや金など高価な部材を使用。多層化や大面積化での使用を想定するため、現状のコストでの展開は難しいという。今後は代替素材でも同様の性能を出すことを目指す。同時にデバイスの素子の耐久温度を上げ、ボイラーやタービンでの利用も想定する。

この連載では、「ディープテック」と呼ばれる先端テクノロジーの事業化を目指す企業を掲載します。
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