磁気特性20倍、京大が開発した新しい結晶構造のスゴい合金
京都大学の松本憲志特定助教と寺西利治教授らは、新しい結晶構造「Z3」の合金を開発した。パラジウムと鉄原子が層状に並ぶ。通常は3次元的に等方的に並ぶが、Z3構造では2次元的な構造をとる。これを元素同士が固溶できるかという元素間相溶性で制御する。構造によって磁気特性が20倍向上した。
パラジウムと鉄、インジウムの3元素を混ぜて合金を作製した。パラジウムと鉄、パラジウムとインジウムはお互いに固溶するが、鉄とインジウムが固溶しない。
するとパラジウムと鉄が離れて存在する構造が安定となる。インジウムをパラジウムが包み、パラジウム・インジウムの層と鉄の層が交互に並ぶ配置となった。
このZ3構造は前例がない。Z3構造になることで磁気特性が20倍になった。インジウムは磁性には関係せず、構造由来の特性が得られた。
日刊工業新聞2022年3月1日