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エネルギー効率1000倍、産総研が開発した高感度磁気センサーのスゴい性能

エネルギー効率1000倍、産総研が開発した高感度磁気センサーのスゴい性能

高感度磁気センサーのアナログASIC(産総研提供)

産業技術総合研究所の秋田一平主任研究員らは愛知製鋼と共同で、高感度磁気センサーを開発した。愛知製鋼の磁気インピーダンス素子に対して産総研がアナログASIC(特定用途向け集積回路)を開発した。既存のフラックスゲートセンサーに比べてノイズが100分の1に低ノイズ化し、エネルギー効率は1000倍になる。微小な磁気を捉える生体磁気計測などに提案していく。

同素子を駆動するために、アナログASICで急峻(きゅうしゅん)な立ち上がりを持つパルス電流を発生させる。パルス電流の急峻さが高感度化につながった。そして同素子から得られる誘導電圧を測るために消費電力を抑えた信号処理回路を設計した。ノイズを抑えつつ、信号処理に電力を使いすぎない。この素子駆動と信号計測のタイミングを調整する遅延同期回路を組み込んだ。同素子の製造時のバラつきを自動補正する。

すると信号帯域が33キロヘルツで、ノイズ特性を表す単位周波数の二乗根当たりの磁束密度が10ピコテスラ(ピコは1兆分の1)、エネルギー効率を示す正規化エネルギーが1・6ピコジュールになった。ノイズとエネルギー効率はトレードオフにあったが大幅に改善させた。


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日刊工業新聞2021年2月24日

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