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IHIが主要機器の受注狙う、米国で計画する「小型モジュール炉」とは?

IHIが主要機器の受注狙う、米国で計画する「小型モジュール炉」とは?

横浜事業所での溶接試験(IHI提供)

IHIは出資先の米ニュースケール・パワーが2029年に米アイダホ州で初号機運転開始を計画する小型モジュール原子炉(SMR)の主要機器の受注に向け、生産技術を確立する。横浜事業所(横浜市磯子区)で溶接試験などに取り組む。23年度にも発注先が決まるのに備え、製作方法や工期、コストなどを22年度までに固める計画。具体的な供給範囲はニュースケールと検討・交渉する。

IHIは格納容器や圧力容器など原発用機器を手がけるが、国内では原発の新設が見込めない。ニュースケールのSMRの主要機器を受注し、生産技術の維持・向上を図る。

格納容器、圧力容器など一体型パワーモジュールを構成する主要機器の製作に必要な溶接の試験に着手しており、素材となる高強度ステンレスの4種類の溶接を試験した。今後、溶接の強度向上や別のステンレスの溶接に取り組み、溶接条件を確立する。

鋼製モジュールの受注も見据える。鋼板コンクリート製でいくつも積み重ねて原子炉建屋の外壁にする。製作手順を検討するため、実物に近いモックアップ(模擬設備)を作る。第1弾の木製モックアップが2月末完成する予定。その後は鋼板コンクリート製モックアップに着手する。

ニュースケールのSMRは出力7万7000キロワットの一体型パワーモジュール最大12基で構成。個別に運転して出力を調整でき、出力が変動しやすい再生可能エネルギー発電の調整電源の役割が期待される。事故時の冷却性能など安全性も高い。

日刊工業新聞2022年2月18日

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