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コロナ「粉末ワクチン」年10億回分供給へ、モリモト医薬が工場計画

コロナ「粉末ワクチン」年10億回分供給へ、モリモト医薬が工場計画

粉末ワクチン1000回分の収納イメージ(1瓶当たり25回分)

モリモト医薬(大阪市西淀川区、盛本修司社長)は、新型コロナウイルス感染症用の凍結乾燥粉末ワクチン(用語参照)製造受託のため第2工場を計画する。近畿地方で2024年完成予定。常温保管が可能な粉末製剤の製造を国内外の製薬会社から引き受ける。製造はグループ会社のMS医薬(大阪市西淀川区)が担当。第2工場では大規模接種向けに25回分と分量の多い瓶を中心に製造し、年間10億回分の供給能力を確保する。

モリモト医薬は23年完成予定の本社内の第1工場の設置費用と同様、事業を評価する企業から資金調達する方向だ。

ワクチンを開発した製薬会社からワクチンの原液を引き受け、凍結乾燥粉末の無菌製剤化と瓶への無菌充填、包装までを一括して受託する。個別接種や大規模会場での受付終了間際の調整用に、余りの出にくい5回分の瓶も一部製造する。

粉末にすることで、液体で冷凍保存が必要なワクチンも常温保存できるようになり、医療従事者の負担を軽減できる。25回分の瓶はA5用紙サイズの箱で1000回分を収納でき省スペース。

輸送も容易で海外供給もしやすく、途上国など冷凍庫の完備が難しい環境での需要も見込む。

ワクチンの原液をスプレー状にして低温の真空管を通過させ凍結する独自の連続生産技術で量産する。

従来の凍結乾燥粉末製剤で課題だった均一な温度管理が容易になる。従来は時間がかかるため1瓶10回分以下が基本だった分量も同25回分まで増やせる。

【用語】凍結乾燥粉末ワクチン=ワクチンの剤形の一つ。必要な成分を凍結、乾燥して粉末状にしたもので、化学的に安定性が高く、さまざまなワクチンで実績がある。主に溶液の凍結と乾燥、結合水の蒸発という段階を経て製造される。一方、従来は大量の溶液を均一に凍結する温度管理が難しかった。

日刊工業新聞 2022年2月18日

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