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早期キャリアアップできる制度を導入した野原HD、グループ人事部長の強い覚悟

野原ホールディングス(HD)は、2021年7月に新たな人事制度「プロフェッショナル・グレード(PG)」を導入した。同社は20年の夏、建設業のデジタル変革(DX)を促す新ミッション「クリエーティブに、面白く、建設業界をアップデートする」を策定。これを遂行するため、新人事制度を取り入れた。年功序列といった古い慣習から脱却し、一人ひとりがプロとして仕事に取り組む会社を目指す。

「新しい船に乗り換えたのだから、操縦の仕方も変えなければならない。厳しい言い方だが、それができなければ違う船(他社)に乗ってもらうしかない」。田村大輔グループ人事部長は、強い覚悟で新人事制度に臨んでいる。

新制度「PG」は、約900人の社員を従来の課長や部長などの役職や営業、企画といった職種ではなく、役割や専門性に応じて七つの等級に再編した。入社1―3年目の「PG1」は定型業務を行う人材、「PG2」は定型業務を一人前に行い自ら仕事を取りに行く人材などと定義し、「PG4」以上はリーダー層・高度専門人材、最高の「PG7」は経営層とした。若い人でも、役割に応じて高いパフォーマンスを発揮できた際には「早期のキャリアアップが可能な制度」(田村部長)としている。

人事制度を見直した背景には、建設業のDXを促す新ミッションを推進する上で「社外の優秀なIT人材を獲得する必要があった」(同)ことがある。従来の年功序列的な制度だと、若くて優秀なIT人材に市場競争力のある報酬を提示することは難しかった。新制度により、既存の社員と公平性を保ちつつ、外部から採用した人材にも能力や役割によって高い報酬の提示が可能になった。

中には従来のままで良かったと捉える社員がおり、動揺の声も聞かれるという。だが、新ミッションに沿って「会社は変わっていくので社員も変わらなければならない」(同)とし、繰り返し社員に制度の趣旨を説明し、理解を求めていく。

日刊工業新聞 2021年1月18日

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