【決算一覧】好調なソニー・日立も足踏み、電機大手の業績に見る部材不足の深刻度
半導体などの部材不足が新型コロナウイルス感染拡大からの電機大手の業績回復にブレーキをかけている。好調なソニーグループや日立製作所ですら、稼ぎ頭のゲームやIT事業で足踏みを余儀なくされる。市場の関心はすでに2023年3月期に部材不足や素材高の影響がどれほど残るかに移る。自助努力の及ばないサプライチェーン(部品供給網)正常化を待つしかなさそうだ。
東芝は14日、22年3月期連結業績予想(米国会計基準)の営業利益を21年11月公表比で150億円減の1550億円に下方修正した。半導体不足と素材・輸送費高騰の減益影響がそれぞれ同80億円悪化する。
鉄道・産業システム事業の営業損益予想は同120億円減のトントンに引き下げ、「新型コロナや半導体不足による工場稼働率低下などで下振れする」(平田政善専務)ことで影響が拡大する。昇降機や照明などのビルソリューション、HDD事業も利益目標を前回予想から見直した。
ソニーGは主力のゲーム事業について22年3月期連結業績予想(国際会計基準)の売上高を21年10月公表比1700億円減の2兆7300億円に下方修正した。半導体不足で「プレイステーション(PS)5」の販売目標を下げたため。日立製作所もIT部門の通期業績見通しを据え置いた。「半導体不足が米国のストレージ(外部記憶装置)事業に影響し、注文はあるが、製品出荷に支障が出ている」(河村芳彦専務)と逆風が吹く。
パナソニックと三菱電機は自動車減産による自動車部品事業への逆風が続く。両社はエアコンなどの白物家電事業で鋼材など素材価格高騰も直撃し、利益改善の足をさらに引っ張る。
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日刊工業新聞2022年2月15日