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ファシリテーターが選ぶ「2015年この3本」#4 走り続ける素材産業

 繊維産業、鉄・非鉄、樹脂などオールドエコノミクスというイメージが強いが、1年間産業ニュースを読み続けると、日本の素材産業は世界で優位なポジションを確保していることがわかる。

●「自動車素材」軽量化競う(中)無視できない炭素繊維・樹脂複合材
http://newswitch.jp/p/2487
 ボーイング787に採用され脚光を浴びた炭素繊維強化樹脂(CFRP)。素材分野で日本メーカーが世界の先頭を走っている象徴ともいえる。自動車にも徐々に採用され始めた。しかし、主材量となるにはリサイクル技術が欠かせないと指摘され続けている。航空機とはケタ外れに生産両が多い自動車にリサイクル技術が確立されていない素材は使えない。世界各地にCFRPの埋め立て地ができてしまう。新素材には生産技術とリサイクル技術に同等の価値があるようだ。

●遮断性ガラス瓶なみの「ペットボトル」、キリンのビール容器に初採用!
http://newswitch.jp/p/1750
 素材間の競争が最も激しいのが飲料容器ではないか。乳成分入りのコーヒーはスチール缶しか使えないと言われていたが、現在ではアルミが参入し、さらにペットボトルも幅をきかせるようになった。さらに重量が軽い紙容器も注目されている。残されたガラス容器の聖域だったビールにもペットボトル化された。欧州でサッカースタジアム向けに試験的にペットボトル入りビールを販売したことがる聞いた。観客がピッチ内に投げても安全なようにということだったが、やはりガスバリア性の問題で本格採用されなかったらしい。ここでも日本製が先陣を切ったのかもしれない。ただ、中身が入ったボトルを投げつけられればケガはすると思う。

●“スマート衣料”はさらに広がるか。東洋紡が新素材を開発
http://newswitch.jp/p/1678
 「ガチャマン景気」という言葉はある程度の年齢層以下は知らないかもしれない。繊維をガチャンと織れば、万の単位のお金が入るというのが由来らしい。朝鮮戦争による需要に牽引され繊維、紡績産業が急成長し、「糸へん景気」とも呼ばれた。しかし、その後1970年代後半から東南アジアから輸入が増え、またプラザ合意後の円高で繊維、紡績産業は窮地に立たされることになった。しかし、IoT向け繊維をはじめ、保温や速乾など高機能繊維で日本の繊維メーカーは見事に復活している。低価格の汎用製品とは距離をとり、技術力で新市場を創出、そこで高い利益を確保する。苦労の末、強さを取り戻しつつある繊維産業に、他産業も学ぶべきことが多い多いのではないか。
ニュースイッチオリジナル
武田則秋
武田則秋 Takeda Noriaki 編集局第一産業部
新しい素材を多く生み出している国内の素材メーカーだが、「何に使っていいか分からない」という悩みも良く聞く。消費者のニーズや市場と結びつけるのが不得意というのは、素材に限らず日本企業が持つ共通の悩みなのかも知れない。

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