電子部品需要が旺盛で「リン青銅板」高騰、納期は2倍に
スマートフォンなどハイテク機器の部品に加工されるリン青銅板の国内流通価格が高止まりしている。1年前比で約3割高い。原料となる銅やスズの国際相場が、旺盛な電子部品需要などを背景に高騰していることを映した。米国の利上げ観測に伴うドル高・円安が、円建て非鉄金属価格の支えになっていることも影響している。
東京地区のリン青銅板の問屋売値は、足元で一般用小板材がキログラム当たり3200円近辺と前月比では約4%高い。主要原料の銅の国際相場が1月に約3カ月ぶりにトン当たり1万ドル台に上昇したほか、スズ相場の史上最高値の更新が続いている。米国の金融正常化に伴う日米金利差の拡大を背景に、為替が6カ月前比で5円程度円安に振れたことも支えとなっている。
国内では、用途となるパソコンなど巣ごもり消費に一服感があるが、需要は高水準を維持している。スマホ向けも好調なほか、車載部品向けは「自動車減産の影響はみられない」(日本伸銅協会調査部)状況で、挽回生産を見据えて部品在庫を積み増す動きが需要を支えている。
市中では、リン青銅板メーカーから問屋への納期が、通常の2倍近くの半年程度かかっている。部品メーカーでは原材料の調達コストが膨らんでいるが、「値段は二の次で安定供給を優先してほしいとの声も聞かれる」(東京都伸銅品商業組合の渡辺公樹マーケットリサーチ委員)など、タイトな需給が継続している。
日刊工業新聞2022年2月3日