電池の応用に期待…ヒドリドイオン伝導体、室温で1000倍に向上
電解合成反応など応用
東京工業大学の福井慧賀大学院生と細野秀雄栄誉教授らは、室温でのイオン伝導を従来比1000倍に高めたヒドリドイオン伝導体を開発した。酸水素化ランタンの水素含有量を高めた材料で、伝導度は1センチメートル当たり1ミリジーメンス。ヒドリドの高い還元力を用いた電解合成反応や電池への応用が期待できる。
酸水素化ランタンを水素化アルミニウムリチウムと400度Cで加熱し、水素化アルミニウムリチウムから生じる水素を取り込ませた。すると酸水素化ランタン中の水素量が増えて酸素量が低下し、ヒドリドが動きやすくなった。
ヒドリドは水素のマイナスイオンだが、イオン直径が酸素イオンと同程度と大きい。物質中の酸素が減ると空間的な束縛が減り、物質中を高速拡散する。
従来の最高値は同0・5マイクロジーメンス(マイクロは100万分の1)だった。1000倍向上し、ヒドリドを用いた電解合成などにつながる。
日刊工業新聞2022年2月1日