「ジブリパーク」11月開業、宮崎吾朗監督が強調する自然との調和
愛知県が愛・地球博記念公園(愛知県長久手市)で整備する、スタジオジブリの世界観を味わえるテーマパーク「ジブリパーク」が11月1日に開業する。日本を代表するアニメーション映画『となりのトトロ』などをイメージした建物、散策路は既存施設を再活用して環境への配慮を意識する。県は2023年秋の全面開業時に年間で180万人の来場者と約480億円の経済効果を見込む。観光資源に乏しい愛知県の起爆剤とする構えだ。
「夢だけど!夢じゃなかった!」体験ができるというジブリパーク。その裏側には、環境に優しいモノづくりが存在する。「公園を崩してはいけない、だけど楽しい場所にしたい」―。ジブリパークの根幹に込めた思いについて、スタジオジブリ(東京都小金井市)の鈴木敏夫プロデューサーは語る。
同公園で整備が進むのはジブリ作品をイメージした五つのエリア。総事業費は約340億円。11月には三つのエリアが先行して開業する。
「ジブリの大倉庫」エリアでは『天空の城ラピュタ』に登場する庭園などをイメージした展示室を設ける。建屋は、老朽化で閉鎖した温水プールを再利用した。「(既存のものを)壊して作るのではなく、使えるものは使う」(ジブリパーク監督の宮崎吾朗氏)。
となりのトトロをイメージした「どんどこ森」では、05年の愛知万博に合わせて建てた「サツキとメイの家」を中心にトトロを模した遊具や裏山に散策路を設ける。
玄関口となる「青春の丘」では『耳をすませば』に登場する地球屋やロータリー広場を再現。『ハウルの動く城』などを想起させるエレベーター棟は既存の施設を改修した。
同公園の敷地面積約190ヘクタールのうち、ジブリパークの整備は3%にあたる約7ヘクタール。「ジブリパークができることで記憶や自然が壊されるのは筋違い」と宮崎監督は強調する。豊かな自然との調和を図る、新たな景観づくりへの挑戦が進んでいる。