三菱UFJ銀行が巨大・宇宙産業に100億円融資する狙い
三菱UFJ銀行は宇宙産業への投融資に本格的に乗り出す。宇宙関連の融資総額を現在の50億円規模から早期に100億円規模に倍増し、宇宙専門ファンドをつくる検討も始めた。31日にはスペースデブリ(宇宙ゴミ)除去を手がけるアストロスケール(東京都墨田区)に25億円の融資を実行する。宇宙産業は2040年代までに3倍超の120兆円規模に拡大すると期待される。支援規模を増やし、収益確保と産業育成を両立させる。
宇宙関連など研究開発型の先端技術はディープテックと呼ばれ、社会貢献の寄与が期待される半面、収益に結びつくまで時間がかかることが多い。三菱UFJ銀は与信管理の高度化などでリスクを抑えながら、宇宙関連で大型融資にも積極的に取り組む。宇宙に特化した融資枠組みであるファンドの立ち上げも目指す。
アストロスケールホールディングス傘下のアストロスケール向けも大型融資の位置付けだ。アストロスケールは宇宙航空研究開発機構(JAXA)と共同で行うスペースデブリ回収プロジェクト「CRD2」に調達資金を使う。日本政策金融公庫も5億円を融資するようだ。アストロスケールは年内の株式上場が見込まれる。
宇宙産業はすでに半導体産業に迫る40兆円超の市場規模があるとされ、人工衛星データの利用による災害監視や環境保全、宇宙医学などで成長余地が大きい。
政府は宇宙政策を強化しており、22年度の宇宙関係予算は補正と合わせて5000億円を超える。前年度と比較して2ケタ増だが、米国は米航空宇宙局(NASA)だけでも3兆円規模の予算を組むなど、宇宙開発は米国、欧州が先行する。
三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)のスタートアップ支援をめぐっては、各事業会社が連携する体制を拡充してきた。アストロスケールにはベンチャーキャピタル、銀行、証券、信託銀行などグループで支援している。