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「仮想水位計」でコスト10分の1、AI河川監視システムの全容

「仮想水位計」でコスト10分の1、AI河川監視システムの全容

AIを活用した仮想水位計(破線部分)で水位の変化を推測する(NTTコムウェア提供)

NTTコムウェア(東京都港区、黒岩真人社長)は、人工知能(AI)を活用した河川監視システムを2022年度にも商用化する。ソフトウエアに基づく「仮想水位計」によって遠隔地からでも水位を推し量れる仕組みとし、一般的な計測機器を使う場合に比べて設置費用を10分の1程度に抑える方針。仮想水位計に関する特許を出願中である点や神戸市における実証の実績を訴求し、災害対策を効率化したい地方自治体へ売り込む。

仮想水位計の利用者は、事前に管理画面を操作して河川の画像上に仮想的な水位計を設定しておく。実際の河川の付近には通信機能を備えたカメラを置き、水面の状況を撮影する。大雨などの際は管理画面上でも水面の位置が変化し、AIが実際の水位を推し量ったり、将来の水位を予測したりする。商用時の価格は今後詰める。

NTTコムウェアはNTTドコモと協業し、神戸市で仮想水位計の実証実験を実施した。2時間後までの水位予測において、増水のピークの時間差は10分以内、水位の誤差は平均16%だった。AI技術を提供したのはNTTコムウェアで、誤差を減らすアルゴリズム(計算手順)などに新規性があると判断している。両社は共同で仮想水位計の特許を出願中。特許取得時期は、24年8月から25年2月ごろを見込む。

国土交通省によると、19年の水害被害額は全国で約2兆1800億円。1年間の津波以外の水害被害額が統計開始以来最大となった。NTTコムウェアは、中小規模の河川は数が多く監視費用も膨らみがちになるといった課題の解決に自社技術を役立てたい考え。

日刊工業新聞2022年1月11日

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