「日本列島改造論」から50年。新たな地方都市のあり方模索へ策定する「デジタル日本改造ロードマップ」とは?
政府は地方のデジタル化を推進する「デジタル田園都市」を実現させるための「デジタル日本改造ロードマップ」を策定する。第5世代通信(5G)の環境整備や、自動運転と自動配送に対応する交通・物流インフラ整備などの計画を盛り込む。民間からの投資を促し、官民でのデジタル投資額を倍増させる。岸田文雄政権の新しい資本主義実現会議やデジタル田園都市国家構想実現会議に提案し、2022年春の完成を目指す。
6日に開かれた経済産業省産業構造審議会(経産相の諮問機関)の部会で萩生田光一経産相は「デジタル前提で日本全体を作り直すくらいの改革が必要。デジタル日本改造を提案したい」と意欲を見せた。
ロードマップでは、データプラットフォームの連携基盤や5G、ポスト5G、データセンターなどデジタルインフラへの投資、再生可能エネルギー電力の供給に適したエネルギーインフラの構築、高速通信網を使った自動運転や自動配送に対応した交通物流インフラの具体的な整備などの道筋、支援の枠組みを含めた全体像を示す。
岸田政権が掲げるデジタル田園都市の構想を実現するため、全国一斉でのデジタル化の大改革の構想「デジタル日本改造」を提案。デジタル技術の活用で地域性や多様性などを持つデジタル田園都市の実現を目指す。国や地方の行政のあり方を見直し、産業のイノベーションやデジタル基盤インフラ整備を進め、地域に雇用や付加価値を生み出し、国民生活を豊かにすることを目指す。
22年は、故・田中角栄元首相が提唱した日本列島改造論から50年の区切りの年となる。日本列島改造論では道路財源を手当し国土の分散開発のためのインフラを整えたが、物理的距離の制約を取り除けず都市化が加速。さらに格差是正を目指した結果、行政サービスが全国で画一的になった。こうした反省を踏まえ、デジタル技術の活用で新しい地方都市のあり方を模索する。委員からは「地方と国の役割分担が必要」「デジタルに関し海外のトップ人材をまとめて連れてくる仕組みが必要」などの意見が出された。
日本はデジタル化への対応が遅れ、産業全体の国際競争力が低下している。デジタル投資額の伸び悩みやデジタル人材の不足、コロナ禍で浮き彫りになった行政サービスのオンライン手続きの不具合などさまざまな場面に影響が及んでいる。