新産業創出の動きが活発化する浜松市、自動車用クラッチ手がける地元企業社長の期待
エフ・シー・シーがbridge(ブリッジ、東京都新宿区、大長伸行社長)と共同で新設した新規事業創発プログラム「浜松イノベーションチャレンジ」で、参加チームが事業案を披露する最終ピッチがこのほど開かれた。計6チームの事業案はいずれも、事業化に向け検討継続との結果となったが、有望案もあった。静岡・浜松エリアでの新規事業創出をさらに活発化させるプログラムとして継続が期待される。(市川哲寛)
エフ・シー・シーは自動車用クラッチが主力。斎藤善敬社長は「浜松の会社は、既存事業のマネジメントと新事業へのチャレンジという両利きで経営するところが多い。刺激し合いながら事業に取り組みたい」として同プログラムを提供することにした。
最終ピッチにはエフ・シー・シーの2チームのほか、ユタカ技研、ローランド・ディー・ジー(DG)、浜松いわた信用金庫(浜松市中区)、静岡大学が参加した。
交差点に向かってくる車などを捉えてカラー表示するカーブミラー、サイクリング時に複数のドリンクを飲み分けられるボトル、中小企業の社長の孤独感を解消して成長を目指すサービスなどのアイデアを披露し、ビジネスモデルや優位性などを説明した。
審査には参加チームの経営陣に加えて、浜松市の鈴木康友市長、浜松いわた信金の小泉伸洋ソリューション支援部アドバイザーらが加わり、評価点や改善すべき点などについてコメントした。最優秀賞にはユタカ技研の赤ちゃんの泣き声の騒音化を解消する機能付きの抱っこひもが選ばれた。高評価を受けて新事業としての採択が期待される。
浜松は輸送機器や楽器などの製造業の集積に加え、若手の起業家のコミュニティーや起業活動支援拠点などが複数あり、新産業創出の動きが活発化している。
斎藤社長は「繰り返せば“技”を鍛錬でき、会社でも個人でもいいアイデアが生まれる。できれば来年以降も続けたい」と、プログラム継続に意欲を見せる。鈴木市長も「良い試みで継続してほしい。参加チームを増やして輪を広げれば活力が生まれる」と発展を期待する。