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人事評価に「OKR」を導入した花王、執行役員が明かす成果

花王は人事評価にOKR(目標と主要な結果)を1月導入した。成果も大切だが、まずは挑戦したことを評価する。さらに製造、販売など部門で異なる実情に照らした多様な目標を認め、対話を通じて連携を促すのが花王流。自由闊達(かったつ)に論議する“大部屋”の風土を取り戻すというのが狙いだ。

「新しいことをやった方がいい」「チャレンジできるんだ」。社員からはそんな声が届くようになったと間宮秀樹執行役員は語る。部門長からは「目標の視座が高まった」という報告もある。導入後間もないが「成果は出始めている」という。

従来、採用していたのは重要業績評価指標(KPI)に基づいた制度。会社が決めた目標を個人に割り振り、目標達成を目指していた。これに対し、OKRの起点は社員一人ひとり。中期経営計画「K25」を踏まえながら、中長期的な視点で個人として「こうありたい」という野心的な姿を書き込み、上司らと対話を重ねながら目標を設定。その内容は社内サイトで公開し、職場の同僚や、さらに他部門とも共有する。

目標のキーワードで同じ志を持つ仲間を検索する仕組みも整えた。「つながり」を促すため、ワークショップなどを通じた対話も始まっている。国内に続き、2022年度以降順次、海外の社員も登録する予定だ。

花王にはかつて大部屋のような風土があった。だが、会社が大きくなり部署が細分化。目の前の仕事に追われる中、気がつくと部門最適化が進んでいた。日用品・化粧品は流通が変わりつつある。消費者の心に響くものを生み出すには、既存事業の再活性化に加え、それを超えたブレークスルーを起こす挑戦を促すためにOKRが必要だった。

課題は挑戦を評価する目。各部門で報告し合う場をつくり目線を合わせ水準を上げようとしている。「ワクワクした社員で活気のあふれる職場となり、皆が挑戦し、たたえ合う風土にしたい」と間宮執行役員は言う。

日刊工業新聞2021年11月23日

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