半導体の微細化に商機見出す装置メーカーたち、最前線をまるっと紹介
第5世代通信(5G)の普及やIoT(モノのインターネット)の進展などを背景に成長が著しい半導体業界。製造装置メーカーは半導体回路の微細化や生産性向上などのニーズに商機を見いだしている。半導体の国際展示会「セミコン・ジャパン2021ハイブリッド」で最前線を追った。(張谷京子)
日立ハイテクは、半導体の微細な回路パターンを安定的かつ正確に検査・計測できる装置として、電子線広視野検査システム「GS1000」を出展した。同装置は、最先端の電子光学系設計により開発された収差補正器を搭載。一般的に広視野で測定しようとすると、被測定物の周辺の分解能は下がってしまう。同装置は広領域でも高精度に検査・計測できる。同社の主力製品の一つである回路線幅の測定装置「測長SEM」と比べて、100倍の広領域スキャンによる高精度な撮像を実現した。
微細化需要の高まりを背景にEUV(極端紫外線)露光工程の導入拡大が見込まれる一方、EUVは従来の露光方法と比べて回路線幅のばらつきが生じやすいなどの課題がある。高速・高感度・広領域に対する検査計測のニーズが高まっている。
アドバンテストは、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)イメージセンサーのテスト(検査)用で業界最速の画像処理エンジン「T2000・IPエンジン4」を紹介した。画像処理の速度を従来比約10倍に向上。テスト時間の短縮とコスト削減に貢献する。
同エンジンは、同社の試験装置(テスター)「T2000」に対応。異なる複数のプロセッサーを併用して演算処理を行う「ヘテロジニアス・コンピューティング」を採用した。最先端高解像度のCMOSイメージセンサーの出力データの欠陥を高速で検出できる。
CMOSイメージセンサーは、スマートフォンのカメラなどで使われている。センサーの高画素化に伴いテスト時間は長くなるため、高速でテストするニーズが高まっている。
一方、半導体ウエハー切断・研削・研磨装置で世界首位のディスコは新製品ではなく、従来製品を展示した。新たに開発した装置を発売・出展した場合、その装置の量産対応に時間がかかってしまう。経営資源を最大限に活用するため、新製品の展示を見送った。
世界的な半導体不足が続く中、顧客からの旺盛な需要に対してフルピッチの増産を急ぐ同社。製造装置メーカーとしてあくまでも供給優先の姿勢を貫く。