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ヤマハ発動機が「次世代電動操船システム」発売へ、デモで乗船した人の感嘆

ヤマハ発動機が「次世代電動操船システム」発売へ、デモで乗船した人の感嘆

ヤマハ発動機の電動操船システム「ハルモ」

ヤマハ発動機は2022年春に欧州で発売する次世代の電動操船システム「HARMO(ハルモ)」の国内での周知向上を図っている。EV船販売(東京都中央区)が堺市に設けた「ゼロエミッションマリーナ」内のモデル基地で、同システムを搭載した船舶の航行デモンストレーションを行った。環境配慮の電動推進器としてだけでなく、ジョイスティックなどによる操船の簡素化や快適化につながる点を訴求する。

ハルモは電動モーターを動力とする推進器ユニット、動作を制御するリモートコントロールボックス、直感的操作が可能なジョイスティックなどで構成する。堺市でのデモで乗船した人は簡単な操作やその場で回頭できる小回り性能に加え「波の音しか聞こえない」と表現するほど静粛性にも感嘆したという。

静粛性は運河や堀など観光用途で運航する船舶に適する。21年夏から進める北海道の小樽運河での実証では観光客や操船するオペレーターから好評を博している。マリン先行開発部の担当者は「大きなトラブルなく稼働しており、製品化への手応えを得た」と自信を口にする。

デモを行ったマリーナは25年の大阪・関西万博に向け建設された。電源は自然エネルギーでの発電、蓄電で確保し、桟橋に係船した電動船舶への無線充電が可能。これらの設備と電動船舶を合わせてマリーナや漁港に提案すれば、マリン業界としてのゼロエミッション(排出ゼロ)化につながる。

小型船舶の電動化は環境意識の高い欧州を中心に普及しつつある。ヤマハ発はオランダやドイツ、イタリアの展示会などに出展し、ボートビルダーの関心を高めている。関心が比較的薄い国内でも注目される存在にすべく開発を推進する。

日刊工業新聞2021年12月20日

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