キャッシュメモリーに利用へ。磁気トンネル接合素子で10ナノメートル秒以下の高速書き込み動作を実証
東北大学の陣内佛霖助教と五十嵐純太学術研究員、深見俊輔教授らは、直径5ナノメートル(ナノは10億分の1)の磁気トンネル接合(MTJ)素子で10ナノ秒以下の高速書き込み動作を実証した。高速動作が必要なキャッシュメモリーへの利用が開ける。半導体の1ナノメートル世代以降のオングストローム世代(オングストームは100億分の1メートル)までスピン注入型磁気抵抗メモリー(STT―MRAM)技術を延伸できることになる。
直径5ナノメートル以下のMTJ素子で3・5ナノ秒の高速書き込みを実現した。MTJの記録層になるコバルト鉄ボロンに酸化マグネシウムの薄い層を何層も挿入する。すると磁気異方性が大きくなり、MTJの磁化方向が切り替わる速度が速くなる。
実際に直径2ナノメートルのMTJ素子が動作した。2ナノメートルは世界最小。5ナノメートル以下で10ナノ秒以下の高速動作を確認。これによりSRAMやDRAMの代替を目指せると実証できた。
STT―MRAMは22ナノメートル世代が製品化された。オングストローム世代まで技術資産を活用できることになる。
日刊工業新聞2021年12月16日