安全保障高いドローン、ACSLが更新需要を狙う
ACSLは、安全性を担保した国産飛行ロボット(ドローン)「SOTEN(蒼天)」の受注を開始した。安全保障の観点から政府は2020年9月の通達で、中国製ドローンの新規調達を事実上禁止しており、それに合わせて開発した。画像や飛行ルート情報などの漏えいや抜き取りの防止、機体乗っ取りへの耐性を実現。原子力プラントを含む電力や通信データ設備、石油化学コンビナートなどの点検業務に安心して使えるようにした。
価格はオープンだが百数十万円の見込み。22年に1000機の販売を目指す。
機体の主要部品には国産または非中国製の海外部品を採用した。通信・撮影データの暗号化をはじめ、国内クラウドでの取得データの保護などセキュリティーの強化を図った。耐風性能は風速15メートルで、災害時など厳しい環境下で運用が可能。準天頂衛星システム「みちびき」のサブメーター級測位補強サービスを搭載し、災害調査など正確な位置情報を把握する必要がある場面で安全に離着陸できる。
アーム収納時の寸法は幅162ミリ×奥行き363ミリメートル。電池込みの重量は1・7キログラムで25分間飛行できる。LTE通信を活用してインターネットを介した操縦も可能で、山間部やプラント内の補助者なし自動飛行ができる。
点検用ドローンは、これまでDJIなどの中国製が大半を占めていた。ただ、政府は新規調達だけでなく既存導入の機体についても速やかな置き換えを求めており、今後更新が加速しそうだ。
日刊工業新聞2021年12月8日