黒字見込む「海外進出企業」が過去10年で2番目に少ない事情
日本貿易振興機構(ジェトロ)の海外進出日系企業実態調査によると、2021年に黒字を見込む日系企業は全体の6割を超えるも、過去10年で2番目に低かった。新型コロナウイルス感染症が引き起こした世界経済への影響により、業種間の格差が拡大した。
半導体不足や原材料価格の上昇などによるサプライチェーン(供給網)の混乱も広範な業種に影響した。販売価格の見直しに取り組む企業の割合は前年から約8割増加し、調達先の見直しに取り組む企業も増えた。
今後1―2年で事業拡大を見込むと回答した企業は44・9%だった。新型コロナ感染拡大前の水準には届かず、感染再拡大と経済活動制限による先行きの不確実性が拡大意欲に影響したとみられる。
ジェトロの佐々木伸彦理事長は会見で「移動制限やサプライチェーンの問題など、さまざまな要因が影響した」と説明した。
調査は海外82カ国・地域の日系企業1万8932社を対象に8月から9月にかけて実施。7575社から回答を得た。
日刊工業新聞2021年12月1日