高収益企業へ歩み進める芝浦機械、収益目標達成へ二つの課題
芝浦機械が高収益企業への歩みを進めている。2024年3月期までの4カ年中期経営計画「経営改革プラン」の定量目標の一部として営業利益率8・0%(21年3月期は0・4%)、株主資本利益率(ROE)8・5%(同マイナス3・4%)を掲げており、収益性と資本効率の向上を図る。
「売上高だけでなく、利益にフォーカスして質を伴った結果を出すというコミットを株主に示した」。大田浩昭取締役専務執行役員は、中計の目標値として営業利益率やROEを重視する理由をこう話す。同社は工作機械から超精密加工機、成形機、ロボットなどの制御機械と幅広い製品群が特徴。それ故に従来は事業部ごとの独立性が強く、競合と比べて生産性と売上高販管費が見劣りしていた。
そのため、現中計で利益率向上に向けた効率化のメスを入れ始めた。初年度の21年3月期は新型コロナウイルス感染症の影響で売上高は落ち込んだが「内部の構造改革は順調に進んでいる」(大田専務)状況だ。
まずは20年4月に、製品ごとに分かれていた事業部制を廃止し、成形機と工作機械、制御機械の3カンパニーとする組織変更を実施。間接部門を各カンパニー内で共通化し、人員も流動的に配置しやすい形式にした。同時に、カンパニーの横串組織として技術開発の中核となる「R&Dセンター」や、調達一元化などを進める「生産本部」も新設。これらの施策を通じて、調達コストを24年3月期に19年3月期比14億円の削減を見込んでおり、21年3月期は2億円の削減効果を創出した。また、20年9月までに約250人の希望退職を実施したことで固定費の19億円削減につなげている。
東海東京調査センターの大平光行シニアアナリストは「これまでの取り組みは順調で、計画の達成は可能」とみる。一方で「早期退職の実施による人材不足と、研究・新製品開発のテーマが多岐にわたるためにコストが分散する傾向がある」と指摘する。競争領域を見極めつつ最適な研究開発投資を実施できるかが、将来成長のカギとなりそうだ。